2012年3月4日日曜日

マーク・ボウデン「ブラックホーク・ダウン」より



下巻283頁より抜粋(著者インタビューに対するとある米国務省高官の答え)

それまでは、悲惨な国が悲惨な理由は、ギャングのような邪悪な指導者が善良で慎みのある無辜の民を虐げているからだと考えられていた。ソマリアがその概念を変えた。国民のすべてが憎みあい、戦いに没頭している国があるとする。街で年配の女性を呼びとめて、平和を望みますかとたずねる。すると、彼女は、ええ、もちろん、私は毎日そう祈ってますよと答える。なべて期待どおりの答えだろう。そのあと、では、平和な世の中にするために、あなたの部族がほかの部族と協力することに賛成かとたずねると、彼女はこう答えるだろう。『あんな人殺しや泥棒と? 死んだ方がましよ』 そういう国―最近の例はボスニアだ―の人々は、平和を望んでいない。彼らは勝利を望んでいる。彼らは権力が欲しい。男女老若を問わずそうなのだ。ソマリアは、そういう地域の人々がいまのような状態にあるのは、彼らに大きな責任があることを教えてくれた。憎悪と殺しあいが続くのは、彼らがそう望むからだ。あるいは、彼らが、それをやめようと思うほどには、平和を望んでいないからだ。