2012年3月14日水曜日

フランシス・フクヤマ「歴史の終わり」より



中巻52頁より抜粋

独裁的な国家権力を用いて既存の社会集団の支配を打破するというのは、なにもレーニン主義左翼の専売特許ではない。右翼政権がその権力を駆使して市場経済への道を開き、最先端レベルの工業化を果たすという場合もある。というのも、流動的で平等な社会、すなわち企業家精神に満ちた中産階級が伝統的土地所有階級のように特権を持ちながら、経済的には非効率な社会集団を押しのけてしまった社会でこそ、資本主義はいちばん繁栄するからだ。
近代化をとげつつある独裁政権が強制的にこうした中産階級の進出を加速させながら、同時に、無能な伝統的地主階級から取り上げた資源や権力を同じくらい無能な公営部門に移そうという気を起さなければ、この独裁政権は脱工業化をとげた最新の経済組織とも両立することが可能だ。