2012年6月7日木曜日

岡本隆司「ラザフォード・オルコック」



216頁より抜粋

「読書人・紳士」が一致団結すれば厖大な勢力であって、北京政府は無力に近い。その勢力は日本と同じく、「一撃」で破砕できるのか、といえば、それは無理だった。オルコックは日本の攘夷勢力が、民衆から遊離していることを見抜いていた。武力を行使しても、全面戦争にならないと踏んだのも、そこに大きな理由がある。それに比べ、中国の「読書人・紳士」は、打倒することも強制することもできない。かれらは民衆を掌握し、下層階級の無知と偏見にうったえ、「愛国」にかこつけてデマゴーグの役割を演じるからであった。しかもその社会は、日本と比較にならないほど巨大である。

238頁より抜粋(ラザフォード・オルコック自身の言葉)

中国の西洋化が最終的に、平和的な方向をとるよう期待したい。東西相互の利益と善意が増進する結果になるのか。それとも、中国が西洋諸国に敵対して自前の兵器で戦うためだけに、わが武力と文明のあらゆる物質的要素を急速にとりいれる結果に終わるのか。それは少なからず、西洋列強じしん、およびその日中に駐在する政治・通商の代表者にかかっている。