2012年12月2日日曜日

石岡浩ら「史料から見る中国法史」より



71頁より抜粋

前近代中国の国家権力は、民事的な権利である私権に関心を持ちませんでした。国家権力が関心を払ったのは、統治される人々に「○○をせよ」「○○をするな」という規範の遵守を、違反者への刑罰を裏付けとして義務づけることでした。裁判の目的は、統治のための規範に対する違反者に、刑罰権を行使することにありました。裁判制度を含む法制度全体が、統治のための規範の構造として形成されていました。前近代中国法は、私権とは無縁に構築された、義務の体系であったのです。